台湾の応援文化に通じる四国のお遍路文化
四国一周サイクリングに興味のある方へ、今回は四国のお遍路文化について少しご紹介したいと思います。
四国という島は、律令制時代に阿波・讃岐・伊予・土佐の四つの令制国があったことから、「四国」と呼ばれるようになりました。
阿波・讃岐・伊予・土佐とそれぞれに固有の文化があり、さらには、四国全体に共通する「四国お遍路」という独特の巡礼文化が存在しています。
四国お遍路は、讃岐でご生誕された弘法大使・空海が修行した八十八ヶ所の霊場を巡礼することで、人間が持つとされる八十八の煩悩がひとつずつ消され、心を清淨し、功徳を積み、願いが叶うといわれ、四国お遍路する人のことを「お遍路さん」と呼びます。
1200年前から続く四国お遍路。
四国の人々は、老若男女問わず、古くからお遍路さんを身近な存在として、温かく迎え入れ、見守り続けており、「お接待」と呼ばれる独特の援助を行ってきました。
お遍路さんに食事や果物、飲み物を振る舞い、ねぎらいの言葉をかけ、道に迷ったときは道を案内し、時には「善根宿(ぜんこんやど)」と呼ばれる無料の宿やお風呂を提供する風習のことです。「お接待をすることで自らの代わりに遍路巡礼を託す」、あるいは、「お接待自体が功徳である」という意味も込められているそうです。
全長1400キロの道を修行として、白装束に袈裟をつけ、すげ笠をかぶり、杖を持って巡ることから始まった四国お遍路。
今では開運厄除や縁結び祈願、癒し、納経(御朱印)など、霊場巡りを旅の目的として楽しむ人が増え、サイクリングのなかで霊場に立ち寄る人も現れてきました。
サイクリストをサポートするために、四国4県のさまざまな店舗、施設が「おもてなしサポーター」として四国一周サイクリングにチャレンジしているサイクリストをもてなしてくれます。
お遍路さん同様、四国一周サイクリングジャージで走っていれば、地元の人からの優しいもてなしを体験することができるでしょう。
実際、自転車で四国一周した際に、雨に降られ全身ずぶ濡れになった私に、お店の方がタオルと温かいお茶をご馳走になったことがあります。
「四国一周いま何日目?」と興味津々で話を聞いて下さった方も多く、思い出に残る交流が生まれました。
一方、台湾の人たちも人情味深く、そして、頑張っている人を応援することが好きです。
サイクリングで台湾を一周する「環島」は、文化として台湾人に定着しています。以前、私が環島した際に、立ち寄った屋台の店主から、「暑いでしょう?」と凍らせたペットボトルやフルーツなどを差し出されたことがあります。道端で「加油!(がんばれ)」と声援を受けることも多々ありました。
どこかお遍路と通じる台湾の応援文化。
ぜひ自転車で四国一周と台湾環島に共にチャレンジしてみてください!
おまけ
台湾の東部にある花蓮県には吉野郷という場所があり、日本統治時代の「吉野村」でした。
1910年に、主に四国から人々が入植し、台湾初の官営の日本人移民村となりました。
四国出身者のなかでも、特に徳島吉野川流域の住民が多く、吉野川にちなんで吉野村となったそうです。
弘法大師、真言宗の信者が多く、1917年にはご本尊を弘法大師とする吉野村真言宗布教所を開設し、その後、写し霊場も開設しました。
現在、布教所は「慶修院」と改められ、石仏が集約され、四国八十八ヶ所巡りができるようになっています。